<トラブルの状況> (姫路市の牛革タンナー様)
カチオン系のベースコート処理を施した革に、さらに水性の仕上面を施していく際に、仕上面の密着向上のためのアンカーコートを塗布するも、表面塗膜が剥がれてしまう。工程をチェックするところ、アンカーコート自体が革になじんでいかず、表面でハジキが出る程であった。(ラッカー仕上げを施した後のように弾いてしまう状態。)
<原因究明>
密着不良の原因となるアンカーコート塗布時の問題として考えられるのが、
1.カチオン系のベースコートに油分・ワックス分が多すぎるのではないか?
2.そもそもアンカーコートの配合処方がこのベースコートに適していないのではないか?
などであるが、お客様のご要望として、使用しているベースコートは非常にシーリング効果が高く、最終仕上がりも良好なので変更したくない。今回は密着不良だけを改善したいとのこと。アンカーコート自体は従来品の仕上げには非常に効果的に働いているとのこと。
<解決方法>
カチオン系のベースコートが他社製品であり、その含有成分や配合処方が不明であった。アンカーコートの基本配合は従来品では効果的に働いていた。という点から、既存のアンカーコートの配合処方を改良して解決することとなった。
アンカーコートの配合処方変更点として、
通常、浸透剤として使用しているのはエチルセロソルブであったが(従来品や他品種においては問題ない浸透効果があった)、ここに少量の油分が含有された浸透剤(P-165)とレベリング効果と浸透効果の両方を兼ね備えた助剤(VLM 29)の2点を添加することにより、ベースコートとの相性を改良し、問題が解決された。
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お客様からは、下地の上がり具合によって、ベースコートの革表面への残り具合が異なっており、従来と同工程を踏んでいても問題が起きていたが、密着が非常に改善され安心して出荷できる製品に仕上がったとご報告をいただきました。
当社では、このように薬剤のご提供・ご提案だけでなく、使用方法や工程最適化のアドバイスなども技術サービスとして行っております。
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