第1回   スピュー(油染み)の問題  / 馬革


<トラブルの状況>  (姫路市の馬革タンナー様)

ラッカー仕上げ後に、白く曇りがでる問題が度々起きる様になった。

ドライヤーで温めても曇りはあまり取れないが、直接ライターなどの火を近づけると、曇りは完全に取れる。

以上の点から、この問題はスピュー(油染み)が原因であると想定される。

 

<原因究明>

スピューが起きる原因として主に以下が考えられる。

1.仕上げに大量にワックスやオイルを使用していないか?

2.馬革原料は牛よりも脂分が多い為、準備・鞣し工程時に問題がないか?

3.染色・加脂の工程に問題は無いか?

確認の結果、3.染色・加脂工程に問題がある事が判明した。

 

<解決方法>

→加脂前の、染色・再鞣のフィックスに用いる蟻酸使用量の調整。(pH調整)

→加脂の際の浴量及び浴温調整

→当初から使用している加脂剤(洗浄後も油分が残り易い=若干乳化しにくい)に合わせて電解質を安定化させる乳化剤 TAUROL SE の使用(加脂剤総量に対して10wt%)

 

上記により、スピューの問題が解決されました!

 

-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-

お客様からは、「ドラムから取りだした下地が今までヌルツキが残ることが気になっていたが、下地がすっきりとあがるようになり、油染みの問題も解決できた」とご満足のお声を頂き、当社にとっても喜ばしい問題解決となりました。

 

当社では、このように薬剤のご提供・ご提案だけでなく、使用方法や工程最適化のアドバイスなども技術サービスとして行っております。

お困りのことがございましたら、当社までお問い合わせ下さい。

 

◆◇他のナンバーはこちら◆◇